「戸籍は全国一律、住民票はバラバラ」の謎。行政書士が見る自治体の“経営方針”と個性の差

行政書士として業務をしておりますと、全国各地の市区町村へ書類を請求する機会が頻繁にあります。そこでふと気づくのが、手数料の「わずかな違い」です。

実は、戸籍謄本や除籍謄本は全国どこでも一律の料金ですが、住民票や印鑑証明の手数料は市町村によって200円だったり300円だったり、時には400円以上とバラつきがあります(参考:愛知県内は200円か300円の市町村が多い印象です)。なぜ、このような差が生まれるのでしょうか?

その理由は、どちらも市町村の窓口で対応いただける事務ではありますが、その事務の性質の違いにあります。戸籍は「国から委託された仕事」ですが、住民票などは「その市町村独自のサービス」だからです。そして、この「数百円の差」をCFP(ファイナンシャル・プランナー)の視点で見つめ直すと、その市町村が何を大切にしているかという「経営方針」が浮かび上がってきます。

今回は、住まい選びや相続後の生活設計において、窓口の手数料以上に注目すべき「自治体(市町村)の個性」についてお話しします。

■ 「手数料」だけでない、自治体の個性の見極め方

例えば、近隣の3つの市を比較してみるだけでも、その「方針」は驚くほど異なります。

  • X市:徹底した低コスト・セルフサービス型 住民税や手数料が安く、目先の支出は抑えられます。一方で、ゴミステーションで収集する品目が限られ、一部は拠点回収、のように「市民の協力(手間)」を求める傾向があります。自分で動ける現役世代には合理的ですが、移動手段のない高齢期には少し負担に感じるかもしれません。

  • Y市:ターゲットを絞った福祉重視型 税金や手数料は高めの設定ですが、その分、高齢者福祉が非常に充実しています。子育て支援が少し落ち着いているように見えても、それは「老後の安心」に予算を振り切っているというメッセージかもしれません。

  • Z市:バランスを重視した折衷型 突出した特徴はないものの、幅広い世代に平均的なサービスを提供しています。迷った時の安定した選択肢と言えます。

■ 意外な盲点!役所の「働き方改革」

また、最近無視できないのが、市町村ごとの「窓口の開庁時間」です。 働き方改革の影響で、以前よりも受付時間が短縮される自治体が増えています。平日に休みが取りにくい現役世代にとっては、手数料の100円の差よりも、「仕事を休まずに手続きができるか(土日開庁やオンライン化の進捗)」の方が、実は大きなメリット(時間的コストの削減)になります。

【最後に:ご自身の「最良の街」を見つけるために】

住民票の手数料、ゴミの出し方、市役所の開庁時間、お子さまがいらっしゃる方ですと、延長保育・休日保育・病児保育や、医療費の補助が受けられる年齢の上限、給食費の補助有無、リタイヤ後の方ですと、運転免許証を返納した人への移動手段の補助やサービス、見守りサービス等々…そこには各市町村の「意志」が隠れています。

行政書士として法律上の手続きを円滑に進めることはもちろん大切ですが、それと同時に、CFPとして「その街で暮らしていくことが、将来の家計や安心にどう結びつくか」を考えることも同じくらい重要です。

就職時や結婚後の新居、あるいは老後の住み替えを検討される際、「どこの街と付き合っていくか」という視点をぜひ持ってみてください。たった数キロの移動が、数年後の生活の質や安心感を大きく変えることもあるからです。

当事務所では、単なる書類作成の代行にとどまらず、こうした「暮らしの質」を見据えたライフプランニングの視点を大切にしています。

「これからの生活に不安がある」「自分に合った市での暮らしを、資産や相続の面から整えたい」とお考えの方は、ぜひ一度、行政書士・CFPそれぞれの知見を持つ当事務所へご相談ください。手続きの先にある、ご自身にとって安心な暮らしを一緒にデザインしていきましょう。

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