デジタル時代の相続 ― サブスクとNFTも見逃せない

年末は生活の整理を意識する時期。
来年に向けて計画を立てる中で、相続や契約のことを考える方もいらっしゃるでしょう。相続と聞くと不動産や預金を思い浮かべがちですが、今はそれだけではありません。

最近は、サブスクやNFT(非代替性トークン)といった“デジタルの契約・資産”も見逃せない存在になっています。サブスクといえば、一般的には定額料金で商品やサービスを一定期間利用する権利を得る仕組みをいいますので、洋服や日用品・家具のレンタルなど様々なジャンルで普及していますが、今回は周りの人から見て形に残りにくい、スマホのアプリ等サービスにスポットを当てています。以降この記事で「サブスク」と表現する場合は定額サービスのことを指します。

 

★サブスク(定額サービス)の場合

動画配信や音楽、クラウドサービスなど、契約者が亡くなった後も課金が続いてしまうことがあります。相続財産ではないものの、解約手続きが必要です。
ここで注意したいのは、通常の相続手続きなら氏名や生年月日・登録電話番号・住所など基礎情報で照合できますが、サブスクはログインIDや登録メールアドレスが分からなければ家族が手続きにたどり着けないという点です。メールアドレスを複数所有している方も珍しくありませんので、まずは相続人から見て、どのメールアドレスで契約をされていらっしゃったのかわからない、となってしまうと手続きが大変複雑になることがあります。以下が分かると安心です。

  • サブスクの名称
  • 契約期間(年間契約か数年契約か)
  • 更新時期・方法(自動更新か更新手続きが必要か等も)
  • 支払方法(クレジットカードとその種類または電子マネー等)
  • ログインIDや登録メールアドレスの把握

サブスクに利用していたクレジットカードを解約さえしてしまえば請求が来なくなるのでは?と思われる方もいるかもしれませんが、そうなっても解約手続きをしないまま放置していると、自動更新され続け、相続人に、使用料の請求がきてしまうリスクは避けられません。最悪規約に延滞料等記載があれば併せて請求される可能性すら否定できません。

 

★NFTや暗号資産の場合

NFTや暗号資産は、相続財産として扱われる資産です。

NFTは、クリエーターやアーティストが作品を発表しやすくなり、表現者と応援者が直接つながる仕組みとして注目されています。資産的な側面だけでなく、文化的・社会的な広がりを持つ点も見逃せません。

ですが、形が見えないため、ウォレット情報や秘密鍵が分からなければ相続人はアクセスできません。資産が眠ったままになるのを防ぐためにも、本人以外にも分かる形で記録しておくことが重要です。

 

★ 専門家視点からのまとめ

  • サブスクは「契約の見直し・解約の手続き」が必要
  • NFTや暗号資産は「相続財産としての管理・承継」が必要
  • どちらも通常の相続手続きとは勝手が違い、ログイン情報や登録メールアドレス、ウォレット情報など本人しか分からない情報が不可欠
  • 家族に分かる形でユーザーIDや契約期間などその資産や契約内容に必要な情報を残しておくことが安心につながる

私が行政書士登録をしたばかりの2017年頃は、お客様から相続手続代行のご依頼をいただいて業務遂行していると、行政書士が相続をお手伝いすることがあまり一般的ではなかったからなのか、金融機関などの窓口でスムーズにいかず、「相続人を連れてきてください」などとおっしゃられることもあったのですが、現在は、行政書士も相続のお手伝いができる専門家ということがみなさまに広く知れ渡ってきたようで、当事務所でも対応しやすくなってきました。

ところが、この目に見えない資産やサービスであるNFTやサブスクは今でこそ生前対策の重要性が叫ばれています。相続の手続きをお手伝いさせていただいて、一番苦労したのはサブスクの解約だったといったことも実際ありました。

 

相続は“目に見える財産”だけでなく、“目に見えないデジタル契約や資産”も対象になります。
年末の見直しに、サブスクやNFTも一度確認してみませんか。

当事務所でもこうした相続などに関するご相談を承っています。お問い合わせはこちら