禁煙は社会的責任──行政書士事務所ができること

はじめに:現場での小さな気づきから
当事務所では、これまでご来所いただいたお客様で、応接室内での喫煙を希望される方は(偶然かもしれませんが)いらっしゃいませんでした。しかし、日々の業務の中でこちらから訪問させていただくお客様の中には、喫煙習慣のある方も一定数いらっしゃいます。ふと、今後ご来所いただいたお客様から「灰皿は?」と聞かれたらどう対応させていただくか──そんな実務的な疑問が、今回のテーマのきっかけとなりました。
禁煙は一方的な主張ではなく、法令順守と健康配慮の両立を目指す「社会的責任」の一環として捉えることができます。行政書士として、また事務所運営者として、どのような姿勢が求められるのかを考えてみました。

法的背景:禁煙をめぐる法令と条例
まず、禁煙に関する法令として重要なのが「健康増進法」です。2003年に施行されたこの法律は、2018年の改正により受動喫煙防止が強化され、飲食店や事業所、公共施設などでの喫煙制限が明確に定められました。
また、自治体ごとに制定されている「受動喫煙防止条例」も見逃せません。たとえば名古屋市では、路上喫煙禁止区域が設けられており、違反者には過料が科されることもあります。事業者には、喫煙室の設置基準や標識義務などが課されており、違反時には指導・勧告の対象となります。さらに、2022年の民法改正により成人年齢が満18歳に引き下げられた一方で、喫煙に関して20歳未満の方は引き続き禁止されています。理由は「二十歳未満ノ者ノ喫煙ノ禁止ニ関スル法律」により、規制目的が「健康被害防止」と「非行防止」にあり、民法の成年年齢の定めとは趣旨が異なるためです。このように、禁煙に関する法令は単なる健康対策にとどまらず、制度理解や情報発信の観点でも重要な意味を持ちます。

税制の変化:たばこ税の増税と社会的流れ
2026年からは加熱式たばこの税率が引き上げられ、紙巻きたばことの税負担格差が縮小されます。さらに2027年以降は、紙巻きたばこを含む全体の税率が段階的に引き上げられ、3年間で1箱あたり約30円の増税が予定されています。
この増税は防衛費の財源確保を目的としているようですが、結果的に禁煙促進にもつながる社会的な流れといえるでしょう。喫煙者の方にとっても、家計への影響を考えるうえで知っておくべき情報です。

喫煙者への配慮:対話と尊重の姿勢
喫煙は個人の習慣であり、法令や条例はそれを否定するものではありません。行政書士としては、喫煙・禁煙のいずれの立場にも敬意を払いながら、法令順守と健康配慮の両立を目指しています。
職場や業界によって喫煙習慣が根付いているところもあります。そうした実情を理解しつつ、受動喫煙防止条例や衛生管理の観点から、柔軟かつ丁寧な対応が求められます。
禁煙を推奨することは、誰かを責めるためではなく、より安心できる環境づくりの一環です。喫煙者の方にも、情報の一つとして受け取っていただければ幸いです。

行政書士事務所としてできること
当事務所では、禁煙環境の整備を進めており、来訪者の方には事前にその旨をご案内させていただきます。また、許認可業務においても、建設業の衛生管理や外国人支援の場面で、禁煙に関する情報提供を行うこともできます。
たとえば、外国人労働者の受け入れに際し、文化的背景に配慮しながら衛生教育の一環として禁煙に関する法的アドバイスを行うことができます。こうした対応は、事業者(お客様)の信頼性向上にもつながります。ご興味をお持ちいただけましたら、業務のご依頼とと合わせてご相談ください。基本料金の範囲内で対応が可能です。

まとめ:信頼される事務所づくりの一環として
禁煙は「社会的責任」であり、「安心できる相談環境」の構築にもつながります。行政書士として、そして事務所運営者として、法令順守と健康配慮を両立しながら、喫煙・禁煙のどちらの立場にも敬意を払う姿勢を大切にしていきたいと考えています。